- 大学に行かないと警察官になれないのかな…?
- 高卒じゃ不利なんじゃないか…?
こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、高卒でも警察官になることは可能です。
各都道府県警では高卒者向けの採用試験区分があります。
毎年多くの高校生や既卒者が合格して警察官として働き始めています。
しかも、高卒ならではの経済的メリットや、若いうちから現場経験を積めるという大きな強みもあるんです。
一方で、大卒に比べて昇進スピードが少し遅いといったデメリットもあります。



長年高卒公務員試験の指導に携わってきた僕の経験をもとに、詳しく解説します。
「大学に行くか迷っている」「とにかく早く警察官になりたい」そんな方にとって、高卒採用は大きなチャンス。



僕の指導経験では、高校の偏差値が40ぐらいの方がたくさん合格しています!
ただ、合格のためには正しい知識が必要。
この記事で詳しく解説します。
- 高卒でも警察官になれる仕組みと採用試験の概要
- 高卒と大卒の警察官の違い(採用枠・昇進・給料など)
- 合格に近づくための効果的な勉強法


高卒でも警察官になれる理由


高卒でも警察官になれる理由は、警察官採用試験に高卒者向けの区分が用意されているから。
そのため、試験に合格すれば高卒で警察官になることができます。
高卒でも警察官になれる背景
各都道府県警の警察官採用試験には、高卒者向けの「Ⅲ類」や「B区分」といった試験区分が設けられています。
都道府県によって呼び方は異なりますが、学歴に応じた試験区分が明確に分かれています。



高卒区分の採用試験に合格すれば警察官になれます。
採用は、各都道府県ごとです。
「神奈川県警」「兵庫県警」など、「○○県警」っていいますよね?
警察官になるには、各都道府県の警察官採用試験を受験します。
そのため、都道府県によっても倍率が異なります。
警視庁警察官Ⅲ類 | 男性5.5倍 女性4.4倍(令和6年度) |
千葉県警警察官B(第2回) | 男性2.4倍 女性3.1倍(令和6年度) |
埼玉県警警察官Ⅲ類(第2回) | 男性3.7倍 女性2.9倍(令和6年度) |
出典
警視庁. (2025). 令和7年度 警視庁 採用案内(警察官). 2025年8月16日取得,https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/saiyo/2025/recruit/info-police.html#magnification
千葉県. (2025年3月19日). 令和6年度 採用試験実施状況. 2025年8月16日取得,https://www.pref.chiba.lg.jp/jinji/ninyou/jisshijoukyou/r6.html
埼玉県警察. (2025年8月13日). 試験結果(埼玉県警察官採用試験の結果). 2025年8月16日取得,https://www.police.pref.saitama.lg.jp/saiyo/kesatsukan/kekka/sikennnkekka.html
地域・年度で差はあるものの、おおむね3~5倍の倍率です。
警察官採用試験は男女で別なので、倍率も男女で異なります。
高卒採用と大卒採用の違い


高卒採用と大卒採用では、以下の点で違いがあります。
採用試験の違い
高卒者向けの試験は、大卒者向けの試験よりも出題される問題の難易度が低いです。



基礎固めと過去問反復で突破しやすい傾向
多くの都道府県警では、採用枠の割合が大卒者向けに多く設定されています。
警視庁の場合、採用枠全体の約7割が大卒者向けですが、残りの約3割は高卒者向け。
つまり、毎年一定数の高卒者が採用されているので、しっかりと対策をすれば合格のチャンスは十分にあります。
警察学校の期間の違い
多くの都道府県警では、大学卒向けは短期課程(約6か月)、高卒向けは長期課程(約10か月)という区分が一般的です。
大卒 | 約6か月 |
高卒 | 約10か月 |
※都道府県で例外があります。
初任科で術科・法学・体力錬成を体系的に学ぶため、入校後に学歴差は徐々に縮小します。
昇進・キャリアの違い
巡査から巡査部長に昇進するまでのスピードは大卒の方が早い傾向にあります。
しかし、警察官のキャリアは学歴よりも実力主義の世界。
大卒・高卒にかかわらず、日々の努力が昇進の鍵を握ります。
大卒者(Ⅰ類) | 巡査として約1年以上の勤務実績が必要 |
高卒者(Ⅲ類) | 巡査として約4年以上の勤務実績が必要 |
昇進試験に挑戦できる年齢で比較すると、高卒者と大卒者に大きな差はありません。
高卒で警察官になれば、23〜24歳前後で巡査部長への昇進にチャレンジできることが多いです。
また、高卒でも努力次第で刑事部門のトップや警察署長といった主要なポストに就くことも可能です。



Xで以下のような投稿があります。
初任給の違い
高卒よりも大卒のほうが初任給が高いです。
令和6年度 警視庁警察官Ⅲ類の初任給
大卒(Ⅰ類採用者) | ¥302,100 |
高卒(Ⅲ類採用者) | ¥264,700 |
初任給だけで見ると、大卒の方がよさそうです。
しかし、以下のような点も考慮に入れる必要があります
- 高卒で警察官になると、大学の学費がかからない
- 高卒警察官は、大学生が4年間過ごしている間、給料をもらう



大卒と高卒で生涯年収はほぼ変わらないという試算もあります。
高卒警察官採用試験の概要


高卒警察官採用試験の受験を考えている方は、まず試験の全体像を把握しましょう。
受験資格
警察官の受験資格は各都道府県警によって異なりますが、日本国籍を有していることなどが基本的な条件です。



受験資格に該当しない人はほとんどいません。
例えば警視庁の受験資格がないのは以下のような人
- 日本国籍を有しない人
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの人
- 東京都職員として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない人
- 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した人
- 平成11年改正前の民法の規定による準禁治産の宣告を受けている人(心神耗弱を原因とするもの以外)
上記に該当しなければ警察官の採用試験を受験できます。
ちなみに、軽微な交通違反があっても、警察官採用試験に合格できる可能性はあります。
実際に僕が指導した中で、車の運転中に一時停止違反をした方でも警察官に採用されました。
年齢制限
高校3年生から35歳くらいまでが一般的です。
※各都道府県警によって受験できる年齢は変わります。



ただし、大学を卒業していると高卒区分は受験できません。
さらに詳しく知りたい方はこちら


募集要項には「大卒者は高卒者試験を受験できません」とハッキリとは書いてありません。
こちらは、大阪府警の募集概要からの引用です。


https://www.police.pref.osaka.lg.jp/saiyo/keisatsukan_saiyo/6/seido/4387.html
A区分 ⇒ 大卒
B区分 ⇒ 高卒



『(注意1) A区分に該当する人は、B区分で受験することはできません。』と書いてありますね。
大学を卒業した人、卒業見込みの人は高卒のB区分でうけることはできないです。



大阪府警以外の警察官も同様です。
大学3・4年生で警察官を目指し始めた学生の中には、大卒区分の難しさを知り、高校で警察官になっておけばよかったと後悔している人が結構います。



大学を中退した場合はどうなるんですか?



大学中退の場合は高卒区分を受験できます。
実際に僕が指導した生徒で、大学中退から高卒区分の警察官採用試験に合格して、警察官になった人がいます。
試験内容


警察官採用試験は、一次試験と二次試験の2段階で行われます。
一次試験 | 教養試験 作文試験 |
二次試験 | 体力試験 面接試験 |
教養試験
一次試験の教養試験は、5択のマークシートで高校までの学習内容が出題されます。



高卒公務員試験の中では比較的難易度が低く、一次試験を突破しやすい傾向にあります。
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高卒公務員試験の科目別出題は以下のようになっています。





教養試験は大きく、知能科目と知識科目に分かれています。
知能科目 ⇒ 主に考える科目
知識科目 ⇒ 主に暗記系の科目
高卒警察官の問題は、他の高卒公務員試験よりも難易度が低い問題が出ます。



高卒公務員試験の中では、1次試験を突破しやすい試験です!
教養試験では以下のような問題が出題されます。







攻略のポイントは、過去問!
教養試験では、過去問と似たような問題が多く出題されます。
実際の合格者も過去問を繰り返し解く学習をしていました。


作文試験
思考力や表現力、社会に対する意識を問う試験です。



文字数や制限時間は受験する都道府県によって異なります。
さらに詳しく知りたい方はこちら
文字数は600~1000文字ぐらい、時間は1時間前後が多いです。
警視庁 | 1000字程度 | 1時間20分 |
埼玉県警 | 700字~900字 | 1時間 |
神奈川県警 | 800字程度 | 1時間 |
大阪府警 | 1000字以内 | 1時間 |
福岡県警 | 800字程度 | 1時間 |
文字数、時間制限は受験先によって異なります。
過去の出題例は以下。
\過去の出題例/
北海道警察官 | この一年で最も関心を持った出来事をあげ、そのことについて、あなたの考えを述べなさい。(令和5年度第2回) |
埼玉県警察官 | 「あなたが今までの人生で最も努力したこと」について述べた上で、その経験を警 察官としてどのように活かしていきたいか、あなたの考えを700字以上900字以内で述 べなさい。 |
千葉県警察官 | あなたが生きる上で大切にしていること。 また、警察官となったときにそれをどう活かしていくかについても述べること。(令和4年度) |
神奈川県警察官 | あなたが思い描く理想の警察官について述べなさい。 |
大阪府警察官 | 警察官を目指す前と現在を比較して、あなたが成長した部分について事例をあげたう えで、「今後も成長するために必要なものは何か」について、あなたの考えを述べなさ い。(令和5年度第2回) |
兵庫県警察官 | あなたにとって「兵庫県警察官として仕事をする魅力」を3つ挙げ、理由と共に述 べなさい。(令和5年第1回) |
福岡県警察官 | 県民が期待する警察官像についてあなたの考えを述べた上で、あなたが警察官として 採用された場合、県民の期待にどのように応えていくのか、具体的に述べなさい。(令和5年度) |



自分が受ける都道府県の傾向を知りたいかたはこちら⇩
各都道府県の過去問リンクです


二次試験では、面接試験、体力試験、身体検査が行われます。
面接試験
近年の警察官採用試験は人物重視の傾向が強く、面接の配点が非常に高くなっています。
志望動機、自己PR、学生時代の経験(部活動やアルバイトなど)がよく聞かれます。
さらに詳しく知りたい方はこちら
面接官3人、時間は20分前後が典型的。





部活動、アルバイトの質問をよくされるのが、高卒警察官の面接の特徴!
特に部活動は、高卒警察官の面接ではよく聞かれます。


近年の警察官採用試験は人物重視の傾向が強く、面接の配点が非常に高くなっています。
教養試験 | 人物試験 (面接) | |
岩手県警 | 200点 | 300点 |
埼玉県警 | 100点 | 300点 |
千葉県警 | 100点 | 300点 |
神奈川県警 | 100点 | 200点 |
長野県警 | 400点 | 900点 |
京都府警 | 100点 | 300点 |
面接試験の配点が教養試験の2倍~3倍なのは普通!
面接試験にも力をいれないと、一次試験は通っても最終合格できません。


体力試験
腕立て伏せ、腹筋、反復横とび、握力などが主な種目です。
基準は、学校の体育ができればクリアできるレベル。



過度に心配する必要はありません。
例えば、腕立て伏せなら20回ぐらいできれば大丈夫です。
柔道や剣道の経験がなくても、警察学校で学ぶため問題ありません。
さらに詳しく知りたい方はこちら
高卒警察官の二次試験では、体力検査があります。
体力に自信が無く、体力検査で不合格になると思って警察官を諦めてしまう人がいます。
でも、実際の基準はみなさんが思っているよりも厳しくないです。



ざっくり言うと、学校の体育ができればクリアできるレベル!
体力検査を理由に警察官を諦めてしまうのは勿体ないです。
警察官の検査項目は、以下のようなものが多いです。
- 腕立て伏せ
- 腹筋
- スクワット
- 反復横とび
- 握力
- バーピーテスト
など
検査項目は、受験先によって異なります。
「警察官の体力検査で、腕立て伏せは何回ぐらいできる必要があると思いますか?」という質問をすると、「50回ぐらい?」、「100回ぐらい?」という回答が返ってくることが多いです。
実際は、腕立て伏せは20回前後が基準のところが多いです。



柔道や剣道はできないとダメですか?



いいえ。警察学校で学ぶので武道経験がなくても大丈夫です。


身体検査
視力や色覚、聴力などの検査が行われます。
高卒で警察官になるメリット


経済的なメリット
高校卒業後すぐに安定した収入を得られるため、経済的な安定を早期に手に入れられるのが最大のメリット。
大学に進学した場合、18歳から22歳までの4年間は学費を支払うことになります。
一方、高卒で警察官になった場合は、この4年間で1,000万円以上の給料を得られます。
大学進学した場合
大学に進学した場合、18歳~22歳の4年間は大学生。
この4年間は大学の学費を払うことになります。
アルバイト等を除けばこの期間は給料は発生しません。
大学に4年間通った場合の費用は以下のようになっています
自宅通学 | 自宅外通学 | |
国立大学 | 約481万円 | 約903万円 |
私立大学(文系) | 約689万円 | 約1,111万円 |
私立大学(理系) | 約821万円 | 約1,243万円 |
All About マネー https://allabout.co.jp/gm/gc/492070/ を参考に作成
高卒で警察官になった場合
高卒で公務員になった場合、18歳~22歳は警察官として仕事をして給料をもらいます。
4年間の給料の合計は1,000万円以上。
ザックリとした差額は約1500万円
大学進学 (国立大学・自宅通学) ⇒学費を払う | マイナス481万円 |
高卒で警察官 ⇒給料をもらう | プラス1,000万円 |
差額 | 約 1,481万円 |
All About マネー『大学4年間でかかる学費・生活費』には、食費、住居・光熱費なども含まれているため、実際には差はもう少し小さいでしょう。
ですが、あくまでも大まかな試算だと、約1,500万円ほどの差が出ます。
経済的理由で大学進学が厳しい方には、日本学生支援機構の返済不要の給付奨学金制度があります。



でも、大卒のほうが初任給は高いですよね?



はい。ですが、見落としている点があるので要注意です。
令和7年の警視庁警察官の初任給は以下。
初任給 | Ⅰ類採用者(大卒) | Ⅲ類採用者(高卒) |
302,100円 | 264,700円 |
令和7年1月1日現在の給料月額に、地域手当(20%)を加えたもの
大学は22歳で卒業します。一方、高校の卒業は18歳。
大学卒業 ⇒ 22歳
高校卒業 ⇒ 18歳
高卒で公務員になった人は22歳まで4年間、警察官として仕事をします。



4年仕事をするので、22歳の時には初任給より給料が上がっています。



高卒で警察官になると、22歳の時はどれぐらいの給料になるんですか?



こちらの2つのサイトが参考になります。
たしかに、高卒公務員の方が大卒公務員に比べて初任給は低いです。
しかし、高卒で公務員になったとしても、4年後には大卒公務員の初任給にほぼ並びます。
それでも公務員になりたいの? 公務員になりたい人に知ってほしい現役公務員のリアル https://koumuin.blog/article/489/
高卒公務員が4年間のうち、2回以上「勤務成績優秀」という評価を受ければ、大卒以上の給料になります。
高卒者も大卒者もある一定の役職に就くまでは基本的に同じ給与運用です。募集要項に記載されている大卒の給与は、高卒者が4年間その団体で勤務した時の給与が記載されています。
公務員総研 公務員の高見を目指すための情報サイト https://koumu.in/articles/284



22歳になると、大卒の初任給に近づくんですね。
ちなみに、警視庁で巡査から巡査部長になるには、Ⅰ類採用者(大卒)は1年以、Ⅲ類採用者(高卒)は4年以上の巡査として勤務実績が必要。
昇進スピードは大卒のほうが早いです。
ただ、巡査部長にチャレンジできる年齢はほぼ同じです。
警察学校の入校期間の違いや昇進試験のタイミングなどによって実際の年齢は変わりますが、高卒でも大卒でも23~24歳前後で巡査部長にチャレンジできます。
生涯年収は大卒と高卒でほぼ変わらない
元公務員の独立系FPの方が試算した結果によると、大卒公務員も高卒公務員も生涯年収は約2億4000万円で、ほぼ同じ。(参考サイト:元公務員による、公務員のためのもう無韻専門FP事務所)
生涯年収は同じぐらいですが、18歳からの4年間で、約1,500万円の差がつきます。
大学進学 (国立大学・自宅通学) ⇒学費を払う | マイナス481万円 |
高卒で公務員 ⇒給料をもらう | プラス1,000万円 |
差額 | 約 1,481万円 |
Yahooの記事によると、生涯年収は高卒の方が290万7796円高いとのこと。
大卒:(月給総額)1億4691万2712円+(ボーナス総額)5509万2268円=2億200万4980円
出典:Yahooニュース
高卒:(月給総額)1億4902万7472円 +(ボーナス総額)5588万5304円 =2億491万2776円
公務員の生涯年収は高卒と大卒を比べると、高卒の方が290万7796円高いことがわかりました。時間外勤務や各種手当等は考慮していないため、ベースとなる月給とボーナスの平均額にはなりますが、高卒の方が高くなるというのは意外に感じた人もいるのではないでしょうか。
入職したての頃は大卒との月給差が目立ちますが、徐々に縮まります。さらに月給が上がってからの期間が長いことも生涯年収を引き上げている要因といえるでしょう。
出典:Yahooニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/954a1c467047762fa26289bf2a0af443e60e944d?page=1
採用試験の難易度
高卒者向けの警察官採用試験は、大卒者向けの試験に比べて競争相手のレベルが比較的低い傾向にあります。



警察間採用試験は『競争試験』
他の受験生よりも優秀な人が合格します。
ここで一つ質問です。
あなたの出身高校で、成績上位者はどのような進路選択をしていますか?
ほとんどの高校で、成績上位者は大学進学をするでしょう。
進学校なら、大多数の人が大学に進学すると思います。
大卒の警察官採用試験は「大学に進学した人同士での競争」。
成績上位者や進学校出身者がライバルです。



大卒の警察官採用試験はライバル受験生のレベルも高い!
もう一つ質問。
出身高校の成績上位者で、高卒で警察官になった人又は希望する人は何人いますか?
ほとんどいないですよね?
理由は、成績上位者は大学進学するから。
成績上位者や進学校に通う高校生で、高卒の警察官採用試験を受験する生徒はかなり少数。



高卒公務員試験の場合、成績上位者・進学校の生徒がライバル受験生から除かれます。
ライバル受験者の水準が大卒よりも高くないのが高卒の警察官採用試験の特徴。
勉強は得意じゃないけど、警察官になりたい人は高卒で受験するのを検討してみるといいでしょう。
早く現場経験を積める
高校卒業後すぐに警察官として実務経験を積めるのも大きなメリットです。
若いうちから社会に貢献する仕事に携わり、様々な経験を積むことで、人間としても大きく成長できるでしょう。
高卒で警察官になるデメリット


高卒で警察官になることには、メリットだけでなくデメリットもあります。
転職の際の選択肢の少なさ



高卒公務員のデメリットは、転職活動の範囲が狭くなること。
将来、警察官を辞めて民間企業への転職を考える場合、学歴が「高卒」となります。
そのため、応募できる求人が「大卒以上」を条件としている求人より少なくなってしまう可能性があります。
昇進スピードの違い
巡査から巡査部長への昇進スピードは、大卒の方が早い傾向にあります。
しかし、その差はあまり大きくなく、かつ実力主義の世界であるため、その後のキャリアアップは本人の努力次第で十分に挽回可能です。
高卒者が警察官を目指す際の注意点


高卒で警察官を目指す場合、知っておくべき注意点があります。
試験スケジュールに注意
警察官採用試験は、大学受験よりも早い時期に行われます。
警察官採用試験は、大学受験よりも早い時期に行われるので注意が必要です。
6~7月ごろに申込が始まり、9月に1次試験が行われます。
受験申込は、6月~7月ごろ。
Webでの申込が主流になってきています。
1次試験の多くは9月第3週の日曜日に行われます。
1次試験合格発表は、10月初旬~中旬。
10月中旬ごろから2次試験。
最終合格発表は、11月~12月。
このようなスケジュールなので、対策も早めにスタートする必要があります。


なお、多くの都道府県では5月にも採用試験が行われます。
ただし、5月の採用試験は既卒者のみが受験できます。



既卒者は、5月・9月と年2回チャンスがある!
受験情報が少ない
Googleで「公務員試験対策」と検索すると、出てくるのはほとんどが大卒公務員試験。
高卒公務員試験の情報はかなり少ないです。
スクールの講座や出版されている参考書は大卒に比べてかなり少ないです。



高校の進路指導室でも、高卒公務員試験の情報は少ないです。
高校の進路指導室に高卒公務員試験の情報が少ないのは、仕組み上やむをえない。
高校の進路指導室などに、高卒公務員試験の情報が少ないのは以下のような理由から。
理由①:高卒公務員試験を受験するのは小数派だから
理由②:進路担当が数年で変わるから
高校3年生で高卒公務員試験を受ける人は少ないです。多い高校でも10名ぐらい。
そのため、受験情報(特に面接試験)が集まりずらく、情報が少なくなります。
また、高校の進路担当は数年で変わるため、ノウハウが蓄積されずらいです。



高校によっては、長年進路担当で公務員試験の指導をしていて、詳しい情報を知っている先生もいます。



ただ、情報が少ないのは実はチャンス!
なぜなら、正しい情報を得た人や適切な講座や参考書を選べた人は、その時点で有利になるからです。
実際に僕の指導経験でも、情報収集を熱心に行う受験生は合格しやすい傾向がありました。



試験の情報はどこで得たらいいですか?



先輩・知り合いなどの身近な人で、実際に高卒で警察官になった人に聞くといいですよ。
他には、高卒公務員試験の講座がある専門学校・通信制講座のHPやパンフレットで情報が得られます。
専門学校・通信制講座は毎年沢山の受験生を指導しているので、情報も豊富です。


効果的な試験対策と勉強のコツ


警察官採用試験には、いくつかの押さえるべきポイントがあります。
実際に僕が指導してきた経験からの、重要ポイントをお伝えします。
学習の優先順位を決める
教養試験は出題範囲が広いため、すべての科目を完璧にしようとするのは不可能です。
出題数の多い科目に力を入れ、優先順位をつけて学習することが大切です。
高卒公務員試験の科目別出題は以下のようになっています。


学習時間が限られている中で合格するには、力を入れる科目とそうでない科目に分けて、効率よく学習する必要があります。


学校の授業を大切に
高卒公務員の受験科目は、半分以上が高校までに習う内容。
高校の授業がそのまま試験対策になります。



高校の授業をうまく活用して、試験対策をしましょう!
\ 詳細情報は、こちら /


判断推理対策の重要性
高卒公務員試験の試験戦略の基本は、判断推理を得意にすること。



判断推理が最重要科目!
判断推理は・・・
- 高校の授業にない科目なので、出身校で有利不利がない
- 出題数が一番多い科目なので、合否に一番影響する
だから、得意にすれば今の自分よりも勉強ができる人に勝つチャンスが生まれる!
判断推理が得意だと、大逆転合格も可能になる!
\ 詳細はこの記事にてご確認いただけます/


勉強は早めに開始
基本的には、高校2年生の9月から本格的に教養試験の勉強を始めることをおススメします。
高校2年生の9月スタートの理由は、 受験までちょうど1年だから。
高校2年生の9月 というのは大まかな目安です。
学力によって、『もっと早めに勉強を始めなければならない人』や『高校3年生の4月からでも間に合う人』がいます。
\ 詳しく知りたい方はこちらの記事へ /


面接試験の重要性
近年の警察官採用試験は人物重視の傾向が強く、面接試験の配点が高いのが特徴です。
教養試験 | 人物試験 (面接) | |
岩手県警 | 200点 | 300点 |
埼玉県警 | 100点 | 300点 |
千葉県警 | 100円 | 300点 |
神奈川県警 | 100点 | 200点 |
長野県警 | 400点 | 900点 |
京都府警 | 100点 | 300点 |



面接試験の配点が、教養試験の2倍~3倍なのは普通!
面接試験の対策も、早期からしっかりと行う必要があります。
\ 詳しく知りたい方はこちらの記事へ /


警察官に向いている人の特徴


警察官は社会の安全を守る重要な役割を担っています。
しかし、誰もが警察官に向いているわけではありません。



警察官に向いている人の特徴を3つの視点から解説します。
正義感と責任感を持っている
警察官は犯罪の防止や事件の解決に携わるため、公正な判断を下せる強い正義感が必要です。
また、一つひとつの職務が社会に影響を与えるため、責任感の強さも重要な要素です。
- ルールを守り、公平な対応ができる
- 困っている人を助けたいという強い気持ちがある
- どんな状況でも職務を全うする意思がある
こうした資質を持つ人は、警察官としての職務に適性があります。
近年では警察官の不祥事がニュースになることもあり、採用試験の面接で不祥事についての考えを問われることも増えています。



警察官を目指す人は、倫理観をしっかり持ち、自分の行動に責任を持つことが重要です。
冷静な判断力と対応力がある
訓練を積めば冷静な判断力と対応力は向上しますが、もともと冷静な判断ができる人は特に向いています。
警察官は、事件や事故の現場で即座に適切な判断を求められます。
パニックに陥らず、冷静に対処できる能力が不可欠です。
- 交通事故現場で的確な誘導を行う
- 犯罪者の逮捕時に冷静に対応する
- 緊急時でも周囲の状況を正しく把握する
このように、迅速かつ的確な判断ができる人は、警察官として信頼される存在になれるでしょう。
体力と精神力に自信がある
警察官の仕事は、肉体的にも精神的にもハード。
長時間のパトロールや夜間勤務、不測の事態に備えた体力と精神力が求められます。
特に以下のような資質を持つ人は、警察官に向いています。
- 日頃から運動を習慣にしている
- ストレス耐性がある
- 困難な状況でも諦めずに行動できる
ただし、受験の段階では体力はそれほど求められません。
体力検査の基準はみなさんが思っているよりも厳しくないです。


まとめ
高卒で警察官になる道は、採用試験に合格することで開かれます。早期に安定したキャリアを築ける大きなチャンスです。
高卒で警察官になるメリット
- 経済的なメリット:
高校卒業後すぐに安定した収入を得られるため、大学進学と比べて4年間で約1,500万円の経済的な差が生まれる可能性があります。 - 昇進のチャンス
警察官の昇進は実力主義。高卒でも努力次第で、主要な役職を目指すことが可能です。 - 受験者の競争レベル:
大卒区分と比べて、競争が比較的緩やかです。適切な対策をすれば、合格できる可能性は十分にあります。 - 早期に現場経験:
若いうちから警察官としての実務経験を積むことができます。
高卒で警察官になるデメリット
- 転職の選択肢
将来的に転職を考える際、「大卒以上」を条件とする求人が多いため、選択肢が狭まる可能性があります。 - 昇進スピード:
巡査から巡査部長への昇進は、大卒に比べて時間がかかる傾向があります。
効果的な試験対策
- 過去問を繰り返し解く:
教養試験では、過去問と似た問題が頻出します。 - 面接対策を徹底する:
近年は人物重視の傾向が強く、面接の配点が高いため、早期からの準備が必須です。 - 体力試験の基準を把握する:
一般的な健康体であればクリアできるレベルなので、過度に心配する必要はありません。
高卒で警察官になることは、早期に安定したキャリアを築ける大きなチャンスです。
試験対策をしっかり行い、自信を持って挑戦しましょう。
社会に貢献したいという強い意志を持ち、試験に向けた準備を進めていくことが何より重要です。
よくある質問(Q&A)
大学に行かなくても警察官になれますか?
はい、高校卒業でも警察官になれます。各都道府県警の警察官採用試験には、高卒者向けの「Ⅲ類」または「B区分」などの試験区分が用意されており、これに合格すれば警察官として採用されます。毎年、多くの高卒者が警察官になっています。
高卒で警察官になるのは難しいですか?
難易度は受験先や年度によって異なりますが、高卒区分は大卒区分よりも出題される問題の難易度が低い傾向にあります。 また、受験者の層も大卒区分に比べて学力上位者が少ないため、比較的競争の水準が高くないと言えます。適切な試験対策を行えば、十分合格可能です。
高卒警察官と大卒警察官で出世や給料に違いはありますか?
警察官の昇進は学歴ではなく実力主義です。高卒でも努力次第で、刑事部門のトップや所長など主要な役職に就くことが可能です。初任給は大卒の方が高いですが、高卒警察官は18歳から働き始めるため、22歳時点での給料は、大卒の初任給とほぼ同等かそれ以上になることが多いです。生涯年収で見ると、高卒と大卒でほとんど差がないか、高卒の方が高くなるという試算もあります。
高卒警察官採用試験の受験資格や年齢制限はありますか?
受験資格は各都道府県警によって異なりますが、日本国籍を有していることなどが基本的な条件です。年齢制限は高校3年生から35歳くらいまでが一般的ですが、これも各都道府県警によって多少異なります。大学を卒業している方、または卒業見込みの方は、高卒区分(Ⅲ類・B区分)の試験を受験できない点に注意が必要です。 大学を中退した場合は高卒区分を受験できます。
高卒警察官採用試験の試験内容はどのようなものですか?
警察官採用試験は、一次試験と二次試験で構成されます。
- 一次試験
主に高校までの学習内容から出題される教養試験(5択のマークシート)と作文試験が行われます。 - 二次試験
面接試験と体力試験が実施されます。
特に、近年は人物重視の傾向が強く、面接試験の配点が高いのが特徴です。
警察官の体力試験はかなり厳しいと聞きますが本当ですか?
体力試験の基準は、一般的に「健康な方ならほとんどの人が超えられるレベル」であり、皆さんが思っているほど厳しくありません。
例えば、腕立て伏せは20回前後が基準のところが多いです。
柔道や剣道の経験がなくても、警察学校で学ぶため問題ありません。
体力に自信がないという理由で警察官になることを諦める必要はありません。
高卒で警察官になるメリットとデメリットは何ですか?
メリット
- 経済的なメリット
高校卒業後すぐに安定した収入を得られるため、大学進学と比較して4年間で約1,500万円の経済的な差が生まれる可能性があります。 - 受験者の水準が大卒よりも高くない
大卒区分と比べて、学力上位のライバルが少ない傾向にあるため、相対的に合格しやすい可能性があります。 - 実務経験を早く積める
若いうちから警察官としての経験を積むことができます。
デメリット
- 転職の際に選択肢が少なくな
将来的に警察官を退職し、民間企業への転職を考える場合、「大卒以上」を条件とする求人が多いため、選択肢が狭まる可能性があります。しかし、働きながら通信制大学で学ぶことでこのデメリットの克服も可能です。 - 昇進スピードが遅い
巡査から巡査部長への昇進は大卒に比べて時間がかかる傾向がありますが、最終的に役職に就ける年齢はほぼ同じです。
高卒警察官になるための効果的な勉強方法はありますか?
- 学習の優先順位
全科目を完璧にするのは難しいため、出題数の多い「判断推理」など、配点の高い科目に力を入れて効率的に学習することが重要です。 - 過去問の活用
教養試験では、過去問と似た問題が多く出題されるため、繰り返し解くことが合格の鍵です。 - 高校の授業を大切に
高卒公務員試験の出題範囲の半分以上が高校までに習う内容なので、学校の授業を真面目に受けることが直接的な対策になります。 - 面接対策を早期に
面接試験の配点が高いため、志望動機や自己PR、警察官としての適性などを問われる質問に対し、早期からしっかりと準備しておく必要があります。部活動の経験も面接でよく聞かれます。