公務員試験の予備校や専門学校に通おうと考えている方は、合格実績が気になりますよね?
でも、合格実績を見るときには注意が必要。
合格実績を見るときのポイントを知らないと、学校選びで大失敗することも!
「1次試験合格率98.2%!」
「400人中、延べ358名合格!」
こんな風に書いてあるとなんだか凄そうですが、このような合格実績の表記には要注意。
しかも、専門学校の場合は、数字上ではわからない合格実績の闇がある場合もあります。
元専門学校公務員科教員の僕が、合格実績を見るときのポイントを解説します!
合格実績を見るときのポイントを知って、学校選びで失敗しないようにしましょう!
X(Twitter)しん@元・専門学校の公務員科教員
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合格者数だけでなく、合格率を出しているか?
合格者が5,000人以上も出てるんで、この学校に行こうと思うのですが・・・
ちょっと待った!合格人数だけでは、良い学校がわかりません!
「合格者数5,283人!」とか「合格者1万人!」とか書いてあるとなんだか凄そうですよね?
でも、大事なのは何人受験して合格者が何人だったか。
合格者が1万人でも、受講者が100万人であれば合格率はわずか1%です。
いくら合格者数が多くても、合格率1%は微妙ですよね?
合格実績を見るときには、「合格率を出しているか?」が大事なポイント!
「延べ人数」には要注意
この予備校、400人ぐらいが通っていてるそうです。400名中358名も合格してるので、ここに通おうと思います。
小さく「延べ」って書いてあるのわかります?
合格者数を見るときには「延べ人数」と書いてあるかどうかをチェックすることが大事。
「延べ人数」について、以下のような例で考えてみます。
Aさん | Bさん | Cさん | |
国家一般職 | 合格 | 不合格 | 不合格 |
市役所 | 合格 | 不合格 | 不合格 |
警察官 | 合格 | 不合格 | 不合格 |
公務員になれた! | 全滅 | 全滅 |
受験したのはAさん、Bさん、Cさんの3人。
公務員になれたのはAさん1名。
延べ人数でカウントすると、この場合国家一般職1名、市役所1名、警察官1名と数え、「3名」となります。
合格者「3名」と書いてあると、Aさん、Bさん、Cさんが合格したように思いますが、実際はAさん1人です。
公務員試験は、合格する人は1人で複数合格し、不合格になる人は全部落ちます。
延べ人数で300人合格と書いてあっても、実質的に合格しているのは100人ぐらいということも・・・。
延べ人数ではなく実数(何人中何人合格したか)が重要!
合格率は最終合格まで出しているか?
この学校は、合格率を出しています。高い合格率なのでよさそうです。
2次試験の合格率が書いてないので注意が必要です。
1次試験と2次試験の両方に合格しなければ、公務員にはなれません。
2次試験(特に面接試験)の指導は難易度が高く、受験生一人一人に向き合って個性を引きさす指導が必要。
そのため、指導力が低い学校や受講生が大勢いる学校では、2次試験で高い合格率を出すことが難しいです。
1次試験の合格率しか公表していない学校よりも、2次試験(最終合格)の合格率まで出している学校は信頼できます。
2次試験(最終合格)の合格率が書いてあるかも大事なチェックポイント!
合格実績は昨年度のものか?
この予備校は、1次・2次両方で高い合格実績なので、ここに通おうかと・・・
右下に小さく「合格率は過去3年の平均」って書いてあるのに気づきました?
あ、ホントだ。これがなぜ重要なんですか?
数字のトリックを使っている可能性があるからです。
合格率が低かった年は、過去3年分などを合算して数字をよく見せるやりかたがあります。
例えば、以下のような場合です。
合格率 | |
2020年 | 95% |
2021年 | 95% |
2022年 | 50% |
この場合、2022年の合格実績は低くてホームページなどには載せられません。
そこで、3年分を平均して「過去3年の合格率80%」として公表するやり方があります。
このような数字のトリックがあります。
昨年度の合格実績を出しているかどうかも大事なポイント。
最新の合格実績(つまり昨年度の結果)を載せているかをチェック!
合格実績は過去3年分以上を出しているか?
ここなら昨年の合格実績で、合格率も高いのでダイジョブですよね?
最新の合格実績(昨年度の試験結果)がよくても、まだ安心はできません。
昨年度がたまたま調子よかっただけかもしれません。
公務員試験は募集人数が毎年変わり、合格者が出やすい年とそうでない年があります。
3年ぐらい安定して高い合格実績を出してる学校であれば安心です。
こんな合格実績なら信頼できる
このような情報を合格実績で公表している学校なら信頼できます。
- 1次、2次両方の合格率が載っている。
- 実数(何名中、何名が合格したか)が載っている。
- 直近の合格実績が載っている。
- 過去3年分の合格実績が載っている。
合格実績を見るときには、このようなポイントに注意しましょう。
全国展開している学校の場合、自分の通う校舎の実績は?
全国展開している学校の場合、自分が通う校舎の合格実績を確認するのも大事。
全国規模の学校の場合、合格率は全国の校舎を合算して出します。
もちろん、校舎ごとの合格実績は異なります。
そのため、自分の通う校舎の合格実績が、全国よりも低い場合があります。
オープンキャンパス等に参加し、自分が通う校舎の合格実績を聞きましょう。
数字だけではわからない、合格実績の闇
合格実績は、数字上ではわからない闇がある場合もあります。
実は、公務員試験の合格率は意図的に数字を高くすることが可能です。
専門学校で噂を聞くのは、「①成績が低い生徒に公務員試験を受験させない」「②自衛官候補生を強制的に受験させる」といった方法。
これらの方法はかなり悪質なので要注意!
成績が低い学生に公務員試験を受験させない
成績が低い生徒を受験させなければ、合格率は上がります。
模試などの成績が低い生徒を、面談などで民間企業志望に変更させて公務員試験を受けさせないことで、合格率を上げることができます。
全員が受験すると、合格率は60%。
成績が低い3人を受験させなければ、合格率は100%。
公務員試験は最後まで何が起こるかわからない試験。
合格するかどうかは、受けてみないと誰にもわかりません。
模試の成績で合格ラインに達していない生徒でも、本番で合格を勝ち取った生徒を何人も見てきました。
合格率を高く見せたいために成績が低い生徒を受験させないのは、学校の都合のために生徒のチャンスを奪ってしまう行為です。
自衛官候補生を強制的に受験させる
自衛官候補生は、公務員試験の中でも比較的合格しやすい試験。
明らかに事務職志望で自衛官を希望していない生徒にも、強制的に自衛官候補生を受験させて合格率を上げることが可能です。
これらは、「合格率をよく見せたい」という学校側の都合!
生徒のための制度ではありません。
こんな専門学校は絶対におススメできません。
専門学校を検討している人は、実際に通っていた先輩などからこういったことが無いかどうか、話を聞くといいです。
「高い合格率=高い指導力」とは限らない
一般的には高い合格率を出している学校は指導力も高いです。
しかし、ここまで見てきたように、表現の仕方や数字のトリックがあるため必ずしも「高い合格率=高い指導力」とは限りません。
逆に、合格率がそれほど高くなくても指導力が高い学校もあります。
例えば「受かりやすいところではなく本人が志望する公務員を受験させる学校」、「数字のトリックを使わずに正直な合格率を出している学校」など。
「生徒を大事にしている学校」「正直・誠実な学校」は、数字上の合格率が低くなることも。
合格率は指導力の目安になることは確かです。
ですが、学校選びの際にはオープンキャンパスや説明会に参加して、実際の教材を見たり先生と会ってみたりすることが大事です。
自分の目で確かめることが大事!
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オンライン講座にはあてはまらない
ここまで見てきた合格率を見るときのポイントは、オンライン講座には当てはまりません。
なぜですか?
オンライン講座では、受講者全員の合否を知ることが難しいからです。
最近のオンライン講座は、質の高いものが多いです。
オンライン講座の場合は合格実績を見るよりも、講座の内容がどれだけ充実しているかで判断するのがいいでしょう。
なお、オンライン講座を選ぶ際には、面接票の添削指導と面接指導をやっている講座を選ぶのがポイント。
理由は、近年の公務員試験は面接試験の配点が高いからです。
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まとめ
- 合格実績を見るときには、以下の点に注意!
- 1次試験、2次試験両方の合格率が載っているか?
- 実数(何名中、何名が合格したか)が載っているか?
- 直近の合格実績が載っているか?
- 過去3年分の合格実績が載っているか?
- 全国展開している学校の場合、自分が通う校舎の合格実績を確認する。
- 合格実績は、数字上ではわからない闇がある場合もある。
- 「高い合格率=高い指導力」とは限らない。
- オンライン講座にはあてはまらない。